邦題がこれで良かったのかちょっと気になるが(原題は「The Duke」)、実話を基にした世紀の大泥棒の話がユーモラスかつコミカルに、そして優しく描かれています。男はナショナル・ギャラリーからなぜ絵を盗むのか、そしてその絵はどうなるのか。
1961年、イギリスは北部の都市ニューキャッスルに住む男が主人公。60年代のイギリスってどんなだったか検索してみると、ビートルズからサッチャーへ、ロンドンでは音楽とファッションの文化が急成長。その一方で労使紛争の多発や国有化政策などにより経済は低迷、「イギリス病」という言葉も生み出されています。
そんな中、映画の最初から驚くのはBBCの受信料徴収がその当時から厳しかったこと。BBCといえば日本のNHKと同じ公共放送局であり、今日の日本で議論になっていることが60年前から行われているとはさすがイギリスです。
そんなことに情熱を傾ける小市民の老人をジム・ブロードベント、その妻をヘレン・ミレンが演じます。
ヘレン・ミレンは「クィーン」でエリザベス2世を演じアカデミー主演女優賞を獲得、この映画でもその雰囲気を拭い去るとことはできないながら、イギリスの街にいそうな女性をキチンと演じています。そしてブロードベントも、これまたイギリスの田舎にいそうな男性を演じているのですが、確かに二人ともイギリス人(イングランド人)なので、わざわざ演じなくてもこのくらいは当たり前にできるのかもしれません。そしてその周辺も皆イングランド人。イギリスがいかにグローバルでないか、よくわかります。
監督のロジャー・ミッシェルは南アフリカ出身のイギリス人。そう、コテコテのイギリス映画なのですね、これは。そしてミッシェル監督は「ノッティングヒルの恋人」の監督でもあるのです。優しいタッチとイギリス愛を感じずにはいられません。
イギリスの地方都市と有名な絵画をめぐり、この老人と家族の周りで物語はどのように進んでいくのか。ほどほどの上映時間の中で、話は比較的テンポ良く進んでいきます。そして節穴の目玉は何か、絵と老人はどうなるのか。まあ結末は史実と大差ないので、調べればすぐわかるのですが、最後までユーモアに富んだやりとりが続けられます。
そしてこの映画、特に残虐なシーン等ないのですがR指定になっています。イギリス人の生活がR指定ということ?週末に見ると気持ちが少し軽くなるかも。
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